【回顧録】 シリコンパレーだより(10)
2018年1月17日 10:41:27 作成
シリコンパレーだより(10)
パソコンとワークステーションの違いは?
NeXTのその後・・・
昨年のNeXTさわぎより、はや1年がたちました。
ウォール・ストリートや一般雑誌、さらには日本企業まで巻き込んだスチープ・ジョブス・フィーバーで、Apple社をつくったのがウォズニアックとジョブスだということを始めて知った人も多いと思います。10数年前、ガレージから出発したApple社は今では、売上6,000億を超える大企業に成長しましたが、再起を計るジョブスのNeXT杜はどうなったのでしょうか?あれほど大騒ぎしたNeXTコンピュータも結局、7,000台とか、1万台しか出荷されなくて、そのせいかどうかわかりませんが、取り扱ったビジネスランドもガタガタになりました。OASの近くのビジネスランドも店じまいしてしまいました。
しかし、この時つけたワークステーション6,500ドルという価格は、強烈なパンチとして残っています。昨年のさわぎ以来6,500ドルより高価なワークステーションは、全て”高すぎる”の一言で評価されるようになりました。 SUN社はディスクレスながら6,000ドルのモデルを出しましたし、DS(データゼネラル)は5.000ドルのモデルを出してきました。SUN社のモデルは、その名もSLC(スーパーローコスト)であり、完全にNeXTに的を絞ったモデルです。一方のNeXT社は、ディスクつきのシステムで、しかも5,000ドルのものを出してきました。
ところで、データ・ゼネラル(DG)社のワークステーションは、”AViiON”という名前がつけられているのですが、なぜだかわかりますか? 最近の人には少々むずかしいクイズですが、真ん中の”ii’をとって逆から読むと、アラなつかしい、”NOVA”ではありませんか。DG社の再起を願う声が聞こえてきそうです。
話をもとへ戻して、こうワークステーションが安くなってくると、パソコンとの差がなくなるという声が聞こえてきますが、その通りです。パソコン、特に上位クラスの486を使ったパソコンなんて、完全にワークステーションよりコストパーフォーマンスが悪くなっています。上位パソコンを出して、この分野で収益を確保しようとしていたパソコンメーカは日本メーカのノートブック・パソコンとのダブルパンチで苦境に立たされています。
RlSCを使ったパソコン登場?!
パソコン業界では、ワークステーションに使われているRlSC(Reduced Instruction Set Computer)を使った新しいパソコンを出す動きが出てきています。コンパック社がRlSCアップを探しているとか、Apple社が88Kチップを使った新パソコンを出そうとしているとか、いろいろウワサカ梳れています。
また、IBM- PCクローンで急成長した台湾メーカの中にも、収益性の悪いパソコンよりSUNクローン・ワークステーションを開発する動きがあります。台湾の場合は、日本の電総研にあたるようなERSOという組織がバックアッブしており、この秋にも2種ほど発表されています。しかし、業界トッブのSUN社が先頭を切って安い機種を出してきているので、IBM−PCの時ほどうまく行くとは思えません。いずれにしても、RlSCチッブが、従来のClSCチップに代って、我々の生活の中にドンドン入り込むのも時間の間題でしょう。
オムロンもたくさん、マイコンを使っていますが、そろそろRlSCチッブの利用を考えるべき時がきたのかも知れません。
LUNA−88Kが評価されている理由は?
一方、我々のLUNAは88KのマルチCPUということで、現在、価格競争とは無縁のなかなかよい位置にあります。しかし、ユーザというのはユーザの目というものを持っていて時々びっくりさせられます。LUNAー88Kが評価されている理由の一つは、そのパフォーマンスが高いのもさることながら、CPUが段階的に増やせるということです。
CPUの性能競争によって毎年、約2〜3倍に性能が向上している時、マシンは、あっという間に旧型になってしまいます。それで、世の中の性能水準が上がった時、CPUを追加して、その水準へもってくるというものです。いずれにしても、ユーザは低価格もさることながら、ある程度の安定を求めていると言えます。
パソコンとワークステーションの違いは?
ところで、よく”パソコンとワークステーションはどう違うのですか?”という質問を受けるときがありまず。価格では先に述べたように同じくらいになり、性能も変わらずなら同じではないか?ということになりますが、一つ基本的に異るのは、通信というか分散処理ということになるでしょう。
ワークステーションでは、通信を介して全てのワークステーションを同じように取扱うことができ、分散処理とかチームコンピューティングとかグルーブコンピューティングとか言われています。この技術は長年、UNlXを使う間に蓄積されてきたもので、MS−DOSやOS/2がどうガンバッテもすぐに追いつけるものではない、と考えられています。ちなみに、私は”分散処理”という言葉がなぜか嫌いで、”チームコンピューティング”などと言う方が、使う側に立った言葉のような気がして好きです。しかし、この”チームコンピューティング”という言葉はHP社の言葉なので、何かもっと良い言い方がないのかと探しています。IBM社は、ごく最近”クライアント/サーバコンピューティング”という言い方をしていますが、クライアントがPCを指し、サーバが汎用コンを指すのでは、あまりにもミエミエという感じがしないでもありません。
しかしまあ、CPUの性能向上はすごいですね。スピードで言うと、最近では20−30MlPSがあたり前になり、汎用コンとそう違いはなくなっています。 西暦2000年には、1チッブで2000MlPSになるとも言われており、少々のソフトウェアでも一発に実行できそうです。メモリ容量にしても、ついこの間、68000のメモリ空問が16Mバイトと聞いて、いったい何に使うんやろうと思っていると、現在のLUNAでも16Mバイトのメインメモリを積むことができますし、次世代では64Mバイトにはなるでしょう。少し大型のデスクサイド型ではこの4倍の256Mバイトは、容易に実装できますので、こちらの方も少々のソフトウェアでは使い切れないでしょう。と言っていると、すぐにまた足りない、と言われそうですね、きっと。
ラスペガスはアメリカで1番安全な町?
今年も、ショーの秋がやってきました。ご存知のデータショーは終って、次はUniForumです。 来年の1月にダラスで開かれ、オムロンは、LUNA/88Kなどを出展します。ダラスと言ってバカにしていると、1月のダラスは大変寒いですよ! 何年か前の初めて見に行ったダラスは、雪で大変だったことがあります。今年のCOMDEXには、何も出しませんでしたが、他のワークステーションメーカは出していたようです(昨年はオムロンだけだったのに!)。 秋のCOMDEXは毎年、ラスベガスで行われるのですが、このラスベガスで大変な目にあいました。もともとラスベガスは、砂漠の真ん中につくった町なので、アメリカ中で一番安全な町と言われています。変なウワサが流れると誰もこなくなり、町はつぷれてしまうというわけだからでしょう。
そう思って安心してウロウロして、とあるバザールみたいな所へ行った時のこと。大変な人出で、混雑しているなと思う間もなく、みんな一斉に伏せるのです。私は何が起きたのかと、一人ポッンと立っていましたが、心配になって足元に伏せている女の子に「どうしたの?」と聞くと、「ガン・シューティング」と返事して、必死に地べたに伏せているのです。それを聞いてさすがの私もョッコラショと座り込みました。結局、たいしたこともなく、バザールはもとへ戻りましたが、さすがにというか、やっぱりアメリカは日本と違うなと実感しました。映画でも、そういうシーンがよく出てきますけど、現実もまったく同じでした。アメリカでは学校で、足元に伏せる訓練をしているのかも知れませんね。 しかし、あの時、ポーっとつったってて、流れダマにでも当ったら・・・と考えると、アトでゾーっとしてきました。クワバラ、クワバラ。
ラスペガスで確実に儲ける方去
ラスベガスと言うとギャンブルも有名ですけど、パチンコはども儲からない。まあ、ホテルやショーが安いのでその分ぐらいぱ払わんとアカンかなと思うものの、負けるとハラが立ちます。もっとも、確実に儲けるには方法があって、ブラック・ジャック(つまり21のこと)でうまい人の下座へ行けぱ確実に儲かります。これで、1,000ドルや2.000ドルかせいだ話はよく聞きます。しかし、1つのチップが5〜10ドルするので、十分な元金と一晩つき合うぐらいの覚悟は必要です。但し、100%儲かるかどうかは保証の限りではありません。
ギャンブルはやめて安いゴルフを・・・
こんな砂漠の中にあるラスベガスにもゴルフ場は数10ヶ所あります。儲からないギャンブルはやめて安いゴルフをするのもナカナカよいものです。アメリカ人は大のゴルフ好き。 この暑いラスベガスでも、いつでもだれかやっていまずが、それ以外はこれもゴルフ好きの日本人。カリフォルニアのOASのまわりにもたくさんゴルフ場があるのですが、日曜の昼は予約が仲々とれないぐらい混んでいます。料金は大体10ドルから20ドル。3時を過ぎると半額になります。夏は4時にスタートしても、うまく行くと全部まわれますので、仲々経済的です。オフィスの近くには7ドルのハーフコースがありますが、池やなんかがあって本格的なものです。 タ方、行ってクラブハウス(というより売店)が閉まっていたら「シメシメ、ただ!」ということになります。
有名なペブルピーチのコースは最近、日本企業が買い取って話題になりましたが、フィーは何と、200ドル以上とのことで、プレーしてるのははとんど日本人という話もあります。近くで有名な所はハーフムーンベイのコースです。このコースの目玉は最終ホール。右に太平洋を見ながら打つのですが、こういう時に限って必ずポールはスライスして太平洋に消え去る運命にあります。
このコースの中には別荘が建ち並んでいて、中には住んでいる人もいるとのこと。毎日ゴルフして暮らしたいというアメリカ人が多く住んでいます。ちなみに価格は50万ドルから100万ドルです。お金のある人は今のうちに買っておいたらいかがでしょう。
アメリカにもうちっぱなしがある!
これだけゴルフ場の料金が安いから、うちっぱなしは存在しないと信じておりましたが、探すとありました。 私がよく行くところは、250ヤードのだだっ広い所で大きいカゴ〈90発入り)が5ドル。入場料も何もいりません。アブローチ、パター、バンカー、全て無料です。この辺の人はゴルフ場の料金が安いので、ちょっとボールが打てるようになるとゴルフ場に出て、練習するようです。したがって、うちっぱなしに来てる人は本当に始めたぱかりの人なので、自分はうまくなったような気がしますよ。
この辺のゴルフ場の特色は何と言ってもフラットなこと。京都周辺の安い山岳コースしか知らない私は、何かもの足りなくなります。その代わり、グリーンは凸凹(でこぼこ)で、パットに苦しむことになります。クリスタル・スブリングスというゴルフ場はめずらしく山岳コースですので、仲々むずかしい所です。しかも、日本入が多くフィーも高めです。コースには時々、野生のシカが出てきてビックリします。この他の特色は池がやたらに多いこと。だだっ広いので、OBはないと安ししていたら、池にドンドン打ち込んであっという聞にポールはなくなってしまいます。雑誌の広告で水に浮くボールというのを見たことがありますが、やっぱり必要なんですね。光るポールというのもあります。我々みたいに日暮れギリギリまでやる人間には特に必要なのかも。
えっ?毎日ゴルフやってるんじゃないかって?本当にそうならいいのですが、ゴルフ場あれどもヒマなしとはナサケナヤ!

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